VIVAマルシェストーリー

株式会社けんぶちVIVAマルシェ
代表取締役 高橋朋一(株式会社 VIVAFARM代表取締役)

仲間とともに目指すのは、「ものづくり」「ひとづくり」「地域づくり」

ー「農業嫌い」から始まった物語

私は剣淵の農家の三代目に生まれましたが、20歳でこの地を飛び出しました。農業が嫌で嫌でたまらなかったんです。剣淵は田舎でかっこ悪い、農業は儲からない、こんなところで後継ぎとして一生暮らすのは絶対嫌だと思っていました。札幌に出て営業の仕事に就きました。頑張れば頑張るだけ成績はあがり、仕事は楽しかったですね。でも30歳の時、あまりにも仕事が忙しく家族と一緒にいる時間が全く無くなってしまい、心身ともに疲れ果てて剣淵に戻ってきました。かといって農業を魅力に思うことも出来ないまま、3年が過ぎました。借金もありましたし、子どものおもちゃを満足に買ってやれない時期が続きました。親父の家族だけであれば食べていけても、息子の自分の家族まで養うほど収入が無かったんです。自分が帰ってきたことで、家族みんなを不幸にしてしまったのではと悩んでいました。

ー 自分を変えた息子の一言

暮らしも精神もギリギリの時、家族で夕飯を食べていると、当時2歳の息子が言ったんです。「パパ、おいも、おいしい!」って。それも3回も。それは自分が育てたジャガイモでした。この時、目が覚めたんです。自分は、息子が「おいしい」というこのジャガイモを作っているんだ、剣淵だからそれが出来るんだと。そこから、誰よりも一番仕事をしようと決めました。そして、息子が誇ることができる農業をやるんだと心に誓いました。

ー「ありがとう」が地域を変えた

2010年に農協の青年部の部長になったのをきっかけに、同年代の仲間に声をかけ「軽トラマルシェ」を始めました。それまで自分たちは作物を作るけれどお客様に直接販売した経験はありませんでした。それを、軽トラの荷台に農作物を積んでイベント会場で直接お客様に販売するのですから、最初は皆緊張して声を出すのも恥ずかしかったですね。でも、目の前でお客さんが喜んでくれるのを見るうちに、メンバーの意識がどんどん変わっていったんです。「ありがとう」と言われることがこんなに嬉しいことなんだと。作る作物も変わっていきました。そもそも、大規模な農家には「男が野菜なんて作れるか!」という意識があるんです(笑)。機械に乗ってナンボ、というような。でも、お客様に喜んでもらえるなら、と少量多品種の野菜作りに取り組むメンバーが増えていきました。今では、メンバーの農場全体で350種以上の野菜を作っています。私の農場でも30種類以上のじゃがいもを生産しています。

ー 剣淵とともに、夢は世界へ

2017年2月、おかげさまでVIVAマルシェは株式会社としてスタートすることができました。剣淵で育てた少量多品種の生産物を全国のお客様にお届けしたいですし、加工品の製造や流通にも一層力を入れていれていきます。最近では海外からのニーズも高まっていて、台湾やシンガポールなどでの販売も始めています。農業体験などを通して、観光振興や人材育成にも貢献していきたいと考えています。VIVAマルシェのメンバーは、20代から40代と若く、アイデアとやる気にあふれていますので、どんどん新しい事業にもチャレンジしていきたいですね。
常に思うのは、私たちは剣淵という町とともに発展していきたいということ。私たちの生産物は、剣淵町のこの豊かな自然と大地が無ければ作ることは出来ません。農業は、この地に根付く担い手がいなければ継続していくことは出来ません。ここまでこれたのも、町の方たちの温かい応援があったから。私たちはこれからも、感謝の心を忘れず「ものづくり」「ひとづくり」「地域づくり」をモットーに前進してまいります!